命名者の願望が入った地名(主に神奈川県)その3 5月10日 飯田朝明
3 福
次は「幸福」の「福」の方です。「しあわせは歩いてこない、だから歩いていくんだね」と水前寺清子が365歩のマーチで歌っているように、「幸」は人間の方から求めていかないといけませんが、「福」というのは神から与えられる助けとか運が良いことで、向こうから舞い込んでくるものですね。毎年の節分には「福は内鬼は外」と豆まきをしますね。福の神、福袋、福引、福相というのも、みんな天からの授かりものです。福祉とか福利厚生とかいう言葉もありますが、これも行政側や働いている会社等から与えられるものですね。
「福」の付いた地名は、大和市に「福田」という所があります。また、横浜市金沢区には「福浦」と「幸浦」と両方があります。それぞれシーサイドラインの同名の駅もありますが、先ほどの北海道の話と同じように、その縁起を担ぐ人もいるそうです。更に、中区には「福富町」という町があり、そのほかにも「福富町仲通」、「福富町西通」、「福富町東通」と3つあります。これには福だけでなく富も付けているので、欲張った地名だと思います。福だけではもの足らず、お金も欲しいということでしょ
うか。
県外になりますが、東京都杉並区には「永福」という所があり、そこを通る京王線の駅は「永福町」ですが、これもただの福ではなく、永久的に福のままでありたいということでしょうね。全国的には「福岡」、「福井」、「福島」という県が3つもあり、その県庁所在地の
都市の名前も同じです。その他にも、東京都に「福生」、広島県に「福山」、福岡県に「福津」、京都府に「福知山」という市があり、大阪市西淀川区には「福町」があり、そこを通る阪神なんば線には「福駅」という駅もあります。また、以前、長崎県の五島列島「福江島」には「福江」という市と港がありましたが、市名の方は、今は五島市に変わってしまいました。
私はかつて仙台市に勤務していましたが、自宅のある多賀城市からの「通勤で利用する仙石線には、途中に「福田町」という駅があり、そこをいつも通りました。昔は、その付近一帯は寒村だったと思われ、寒冷で稲が生育しないことも多く、飢饉
もあったのではないかと推測しました。それで、この地域一帯の農民が、福を呼び込もうとして、毎年豊作になるよう願って、この名前を付けたのかなと思いました。