府中通信 老・雀々 3月24日  河崎啓

 令和7年3月16日、桑原啓二、村上順三、木暮郁雄、湘現会・健康麻雀倶楽部三氏の御来駕を受け、わが老人ホームの居室で卓を囲んだ
 牌の肌触りや竹林で雀が騒ぐようという音に触れながら場つくりにかかる。二段に積んだ十二枚の牌を指先に挟んで持ち上げようとした途端に、中の数枚が抜け落ちてひっくり返った。慌ててやり直してもまた落ちる。
 箸は持てる。ペンも持てる。けれども、指先に集中する力が、加齢によって知らぬ間にフレイル(衰弱)しているのだった。
 ゲームが始まり、牌もツモろうとすると指が震えて隣の牌までが表をさらす。ポンチイカンロン、場の持つ独特のリズムにも水を差すことになって申し訳なかった。
 でも楽しかった。若いころ、勤務先の宿直室で、連日のようにご開帳してからもう何年になるのだろうか。牌に触れたのは、ざっくり言えば半世紀ぶりのことではないか。
九十五歳。わが老いたり。現状を知った。もういい。もういいではないか。「オオラス」呟いてみた。ちょっと淋しい。「ラスマエ」と言い直した。それがいい。今日は「ラスマエ」。「オオラス」のない永遠の「ラスマエ」