電話の思い出 (11)電話帳

 結婚して所帯を持ち電話を引いて、電話帳に名前が載ったとき、「ああこれでやっと一人前になったな」と感慨を持ったものである。当時は有名人を含めだれでも電話帳に名前を載せたものである。時移り今では電話帳に名前を載せるものがほとんどいなくなった。町内会でも20年ぐらい前までは、住所・電話番号・所帯主が記載された名簿を町内全員に配布していたが、今は町内会報でも転入してきた人の名前は紹介するが、電話番号はおろか住所も不記載となっている。やはり詐欺電話とか対応でプライバシーが尊重されるからであろう。

 湘現会も数年前までは会員名簿に住所・電話番号を記載していたが、今は名前とおおよその地域しか掲載していない。代表・会計・事務局だけ把握し、必要に応じて連絡先の照会に対応するようにしている。もちろん、連絡先を公開しても、会員が不正なことに使用しないと信頼しているが、なんらかの形で表がそのまま出てしまう事故を懸念しての対応である。ただし、行事の連絡先などの電話番号は掲載しているが迷惑電話や詐欺電話をするほうは個別の電話番号をひとつひとつ収集するのでなく、まとめた電話番号表を見て架けてくるのだろうと思うので、絶無でないがまあ悪用される可能性は低いと踏んでいたるからである。

 世知辛い世になったものである。

(電話の思い出終わり)