国道134号線ー松と砂浜のみち(その1)  11月20日 飯田朝明

1 国道134号線
  国道134号線は、横須賀市三春町を起点に中郡大磯町の国道1号線に至るまでの総延長60.5kmの一般国道であり、三浦半島から太平洋岸沿いに延び、大磯からは昭和47年に西湘バイパスが全線開通したことから小田原や箱根方面へのアクセスも一段と良くなった、神奈川県南部の9つの市町を一つに結びつけるルートである。
 私には、この道は大磯小学校6年の卒業時に同じクラスの6、7人と誘い合って、自転車で16kmほど離れた江ノ島までを往復した思い出がある。また、兄の友人の父親が自動車のバイヤーをしていたせいか、その人が家の前まで外車を乗り付けてきて、兄と一緒に乗ってみないかと言われて、江ノ島と陸側の片瀬海岸とを結ぶ弁天橋際まで同乗し、快適な乗り心持だったことをよく覚えている。
その頃この道は湘南遊歩道路と呼ばれていたが、中央部は今のようなアスファルトではなくコンクリートで舗装されていて、両側は土砂が固められたままでぺんぺん草が生えている状態だった。車もたまに通るくらいで、なにしろ12歳の少年が一人も事故に遇わず、怪我もせずに帰ってきたので、今とは比べようがないほど交通量も少なく、当時は時代そのものが今より牧歌的だったのではないかと思っている。
サザンオールスターズの「希望の轍」には「エボシライン」という歌詞があるが、これは茅ヶ崎沖の烏帽子岩に因んで付けたもので134号線を指すと言われており、他にもRoute134という歌もある。
 この道が始まる横須賀から西に向かうと、三浦半島の海岸は岬や岩礁が多く、砂浜は少ない感じだが、藤沢から大磯にかけては砂浜が発達しており、道の両側には至る所に松が植林されており、南方向から吹き上げる海風をさえぎるように、よしずに囲まれた松林が延々と続いている。
 毎年の新春恒例の東京箱根大学駅伝では茅ヶ崎市南東端から134号線に入り、大磯にかけてこの道を走るが、松林と共にその向こうには黒潮の海が見え隠れし、晴れた日は富士山も姿を現して真っ青な空が広がる。そして、これらと懸命に走る選手達や応援の見物人とが混然一体となってTV画面が映し出されるが、このさまは今や全国的にもお馴染みの正月の風物詩となっている。
 というわけで、この道路には松と砂浜が目立ち、それが代名詞であると言ってもいいような「みち」なので、「松」や「浜」などがこの近隣の地名にどう取り入れられているかを少し調べてみた。(続く)