ハタキについて 8月31日 青野正宏
あるとき、本棚の本の上のホコリを掃除しようと思って「サイハライはどこにある」と家内に尋ねたところ、「サイハライて何?」と聞き返された。「ホコリを払う道具」というと、「ああ、ハタキね。そういわないとわからないじゃない。」と言われた。ハタキは言う語は知らないけではないが、とっさには出てこなかった。辞書で調べると、サイハライは「ハタキのこと。京都・滋賀方面の方言」とあった。京都出身なのでサイハライという言葉を使っていたが、家内は関西出身でないので、意味が通じなかったようである。普通の言葉と思い込んで方言だったということはあるものだと思った。その後、ネットで調べると元々はサイハライが使われた言葉であるが、江戸時代にハタキという言葉にとって変わったとある。
昔は、ハタキで室内のほこりをはたき、しばらく時間を置いて、茶殻や新聞紙を濡らしてちぎったものを床にまいて帚で掃除していたものだか、電気掃除機にとって代わり、棚などのホコリもホコリを化学的に吸着させる掃除用具を使用するようになったので、ハタキや帚(室内用)にはご無沙汰になってしまった。それで、ハタキ・サイハライという語を目にする機会も少なく、その言葉を使う機会もなかったので、方言が氷漬けになっていたようである。それでも、書棚の本の上のホコリをはらうには、ハタキが有効であると思っている。