「手のひら返し」と「君子豹変す」 5月4日 飯田朝明
 「手のひら返し」は、フリー百科事典「ウィキぺディア」によれば、今まで高く評価していた又は支持していたことに対して、何らかのきっかけにより突然低い評価を下したり支持しなかったりすることであるが、あるいはその逆に低評価が突然高評価に転じることもそれに当たるとし、その場その場で都合よく態度を変えるといったような、ネガティブなイメージで使われる言葉であるとしている。
 また、「手のひら返しをする人はどんな人か」としてその特徴や心理を紹介しているが、それによると、特徴としては「損得勘定をする」、「言い訳をする」、「気分屋」とかであり、心理としては「承認要求が強い」、「自分の気持ちに正直」とかを挙げており、自分が得をするために相手を貶めることがあるため、「手のひら返し」をされた相手は「裏切られた」と感じることが多いようだとしている。
 「手のひら返し」の類語として「豹変する」とういう言葉があるが、人の態度や性格が急に変化するという意味であるが、「易経」の中に出てくる「豹の毛が季節によって生え変わり斑模様が美しくなるように君子も時代に応じて自己を上手く変化させる」という言葉から生まれたと言われており、元来は肯定的な言葉だったが、時代の流れに伴って、悪い意味を指すものに変化してしまったと説明している。
 上述のような宮澤教授の「豹変」は、日本の戦前から戦後への大転換期に起こったことであり、「易経」にあるような「君子豹変す」であれば誠に喜ばしいことだが、同教授は戦前大政翼賛会に関与しながら戦後は公職追放されなかったばかりか、国会議員や国語審議会の副会長になるなどして戦後の学会等で枢要な地位を占めたことは新憲法制定の過程で総司令部に積極的に協力したためではないかと推測されていることから、そうとばかりは言えないものがある。(続く)