広島原爆資料館等を見学して(完) 9月15日 安倍精一

(おわりに)
 1945年8月6日、広島に史上初めて原爆が投下された。さらに3日後には、長崎にも原爆が投下された。今回、私は広島原爆資料館等を見学したが、原爆による被災が如何に言語を絶するほど恐ろしいものであったかを、私は改めてよく知ることができた。
 そして、住民たちや市内に動員された人たちの殆どが被爆とその後の後遺症で死亡し、市街が壊滅し、資料も焼失した中で、原爆記念館等を整備し、被爆者の個々の状況を丹念に、粘り強く再現した市当局及び多数の関係者のご尽力に深甚なる敬意を表したいと思う。
 広島原爆記念館等を訪問して何より驚き、うれしかったことは、外国人、特に目立ったのは欧米人が多数見学に参加し、大変熱心に学ぼうとする姿であった。現在の国際政治の力学とは別のところで、「このような原爆の惨禍を決して再現してはならない」という世界の市民の動きが始まっているのではないだろうか。
 そのような中で、2度も原爆により被爆した国の日本人は、改めてこの被爆の事実を学び、若い世代や後世の人々に伝えていくことが大事ではないかと思った。
 原爆死没者慰霊碑の「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませんから」という碑文は、単なる願望ではなく、私たち人類の決意でなくてはならないと思う。(完)