府中通信 10月3日 河崎啓
一
汗ばむような秋晴れのひと日、老人ホーム近隣の遊歩道を散策した。キンモクセイが咲き誇っていた。それがいけないこととは知っていた。が、天に許しを求め樹に詫びて一枝を手折った。九十台も半ばを過ぎ足萎えて外出できない美しき老婦人のために