落ち込みし日にこそ覗け蟻地獄 9月11日 木暮郁雄
落ち込みし日にこそ覗け蟻地獄 遠堂 若狭男
私がアリ地獄を見たのは、70年以上も昔のことです。すぐ下の妹が亡くなり、菩提寺へのゆるい坂を上がっていた時、兄から道路の中央にあったアリ地獄を教えてもらいました。すり鉢だけです。名前を聞くのも初めてでした。検索したら、直径1から6センチ、深さ0.5〜3センチの赤茶けた虫でした。このすり鉢の下にアリ地獄がいて、落ちてきたのを食べるとか。飼っている人もいるようです。
櫂氏の解説には、
乾いた砂に火山のような口を開く蟻地獄。ウスバカゲロウの恐ろしい幼虫が潜んでいて。それとも知らない蟻が足を滑らせるのを待ち構えている。非情の摂理そのままの仕掛けである。うっ屈の慰めになるかどうか。